【ジュセリーノ予言の真実 1004】 所詮同じ穴の
昨日の記事に対して「何が言いたいのかがよくわからない」というメールやコメントが来ている。
端的に言うならば、ジュセリーノが前長崎市長が銃撃される夢を見たというのは嘘だろうということを書いている。
番組によれば、ジュセリーノがその予知夢をみて、警告の手紙を書いて送ったのは10年前の1997年。
「彼の命を救いたいと思った」などと一見殊勝なことを言ってはいるが、それは嘘だろうということもいえるのだ。
何故ならば、ジュセリーノは昨年の暮れの番組の収録のために訪れた日本のテレビクルーと接触している。その後も本の出版のために何度となくその日本の出版社と連絡を取り合っている。本が発売されたのが3月の下旬である。
事件が起きたのは4月17日であるから、その約3ヶ月とちょっとの間、ジュセリーノはこの事件に対する警告をしようと思えば彼等を通じて出来ていたはずなのだ。それがなかったということはジュセリーノの脳裏にこの「長崎前市長銃撃」のことなどあったはずがないという疑惑を生じさせてしまうということになるのだ。
ジュセリーノが「取材に来たテレビクルーや出版社を通じて警告していた」などと言い出したら、今度は前長崎市長を見殺しにしたのはその日本にいる連中だというとんでもないストーリーが完成してしまうことにもなってしまうが。
ジュセリーノの頭の中にこの事件のことがあったとしても、ジュセリーノが何も警告のようなものをしていなかったということは、それは市長の命を救いたかったという言葉は嘘だろうということにもなる。
それであのインタビューというものを見るとどうだろう。ジュセリーノの話しぶりである。
今でも(8月の時点)10年前に夢で見たという光景のことを、ああまではっきりとテレビカメラの前で喋れるくらいに覚えているのならば、約一年前の昨年の暮れにだってこの事件に対する警告ぐらいは出来ていたはずだということなのだ。
自分の目の前にその日本から来たテレビの取材クルーがいるのだから。
つまりどっちにしても、あのジュセリーノのインタビューというものはそれだけ矛盾に満ちたものなのである。
もし、ジュセリーノが昨年の暮れに同じ製作会社の人間と接触していたということと、日本の出版社と今年の3月にすでにメールでのやりとり(韮沢コラムによる)をしていたということを知らずにこのインタビューを見てしまうと、なんともなく見逃してしまいがちだが、そういう大きなふたつの事実というものを踏まえた上であのインタビューを見ると、誰かが、あるいは全員がか、嘘をついているというのが丸わかりになるのである。
この場合もっとも合理的で自然な解答、それは「ジュセリーノは事件が起きた後で、それに合わせて書類を偽造して、テレビカメラの前ではこの事件を10年前に夢で予知して手紙を書いたという嘘をついた」ということだ。
では、嘘をついているのはジュセリーノただひとりなのか、というと自分にはそうは思えない。
やはりこのジュセリーノのインタビューのためにブラジルに人間を派遣したり現地のコーディネーターを雇ったりしているこの「オフィス・トゥ・ワン」という製作会社もジュセリーノ、たま出版と同じ穴の狢(むじな)、同罪で真っ黒けだと自分は断定した。そのことを書いたのである。六本木だから狸穴か。
追記
当然の話だが、このジュセリーノのみっともない大ポカは「リンゼイさん殺害事件」にも「バージニア州立工科大銃乱射事件」にもあてはまることになる。
ただ番組ではジュセリーノのこのふたつの事件に対するインタビューというものが流されなかったというだけの話で。
その点ではジュセリーノは運がよかったとも言えるが。
自分が「この手のオカルト番組はつまらない」というのはもちろんこういう安易なつくりの部分も含めての話である。
確かに、70年代にはこういう粗雑で(いかにも時間に追われて苦し紛れでこさえたような)視聴者をだますようなオカルト番組であふれかえっていた。
そういういやな記憶を呼び覚ましてくれるような番組でもあった。
ここではそれについては書かないが、マクモニーグルとナンシー・メイヤーについてもそういう安易なだましの部分ばかりが目についた。
救われるのは、こういう番組、昔は平気で視聴率が20%とか25%とか取れたものだが、流石に9月25日の番組の平均視聴率は11.9%だったそうである。
それだけ視聴者の方も成長しているということだろう。頭の中身が成長していないのはテレビ局と製作会社のトップの人間だけなのかもしれない。
それにしても可哀想だなと思うのは、こういう番組に登場して、製作の意図どおりに演じているだけとはいえ驚いたり感心したりするふりをしなければならないタレントさんたちだろう。
「馬鹿っぷり」を晒して自分たちのタレント生命を短くしたりイメージダウンにも繋がることだからだ。
「高額なギャラとってんだから同情の余地なし」みたいな意見もあるかもしれないが、自分はそうは思わない。
やはり彼等にとってこういうオカルト番組への出演はものすごく危険なことなのだ。自分の意志で出演しているのならばともかくもだ、所詮はプロダクションと局との繋がりというもので半分以上嫌々ながら出演しているような面々ばかりだからだ。
特に、ジュセリーノのことを「きっと選ばれた人なんですねぇ・・・」と心から感心したようなことを言わされた賀来千香子?には同情の念に耐えない。
あれではまるで新興宗教の宣伝塔と同じ役割分担をふられたのも同じだからである。
とはいえ、たったひとりだけ同情の出来ないパネラーがいた。昨年暮れのたけしの番組にも出演していた作家の荒俣宏である。
彼はジュセリーノの正体というものを知っていながらも口をつぐんでしまったのである。
いわば「確信犯」である。
しかも何故荒俣宏があの場所に「座っていた」のかということを考えると二重にも三重にも問題含みだったと言わざるを得ない。
この人が今後いくらこの手のオカルティズムについて語ろうとも、こんなことをやっているようではいずれは誰もが彼の言葉や書いたものに対しては関心を寄せなくなるであろう。身から出た錆である。
そういえば昔この人やはり「宇宙人解剖フィルム」を扱ったオカルト番組に出演したときに「自分は今度UFOの雑誌の編集をすることになった」とか語り出し、司会のビートたけしに「たま出版から?」と振られると「いえ、もっとちゃんとしたところからです」と答えて、たけしとパネラーのひとりだった伊集院光の大爆笑を誘っていたのだが。