2009年3月9日月曜日

090309 「ジュセリーノの予言」という本について 10 

【90309】 「ジュセリーノの予言」という本について 10 

ここでも何度も書いて来たことだが、「地球が温暖化している」というのはまったくもって事実である。そのことに対して「それは違う」と異論を挟むつもりはまったない。

しかし、今地球が(大気が、と言い換えたほうがいいのかもしれないが)温暖化しているからといって、その原因が果して全て「人類が排出したCO2のせい」かというと、それに対してはかなり疑問を持っている。

というか、もしそうだとすると計算が合わなくなるからだ。減ってきているといわれている大気中の酸素はいつごろから減りだしたのだろうか?

それに対する明確なる答えというものを真面目に答えてくれる環境派を自認する人間はいまのところひとりもいない。

増えた大気中のCO2と減ったといわれている酸素、このふたつの相関関係が明確にならなければ「環境破壊によるCO2の増加」はただのまやかしということにもなりかねないのだ。

要するに、大気中のCO2が増えているというのは、地球の地殻活動の周期というもので起きている「単なる自然増」はないかと自分は思うんだが。

というかそっちの方が理には適っているはずなのだ。

ところがこの世には「大気中のCO2の量を増やしたのは人類、もしこのまま排出するCO2の量が増えつづければおそらく地球全体がさらに高温化して、人類は滅亡する」といった無茶苦茶なことを真剣に口にするひとたちがいる。

しかし、よーく考えれば、もちろんそんなものはただのまやかしであり、たちの悪いおどしでしかないことぐらいは少し考えれば解るはずだ。



この『ジュセリーノの予言』の第四章「地球温暖化」の中身はこのような「環境オカルト」としか呼べないような「まやかし」といったもので占められている。

もととなっているジュセリーノの予言はこうだ…

「2008年の7月16日から9月15日のあいだに、日本の東京は気温が43度から45度にまで上昇し、深刻な問題を引き起こす」

つまり去年の夏の予言なのだが、このジュセリーノの予言は結果から言えば外れである。

そのことはテレビ東京で放送した第二弾の番組(08年10月放送)の中でもふれていた。

たとえば、密室であるとかそういう特殊な条件下の場所でなければということだが、昨夏日本で計測された最高気温というものは、下記地点でこの日に計測された摂氏39.0度であった。

7月27日 39.0 ℃ 大分県 犬飼    
7月26日 39.0 ℃ 岐阜県 多治見


で、これは一昨年2007年と較べるとどうだったのかというと

8月17日 40.8 ℃ 岐阜県 多治見    
8月16日 40.9 ℃ 岐阜県 多治見 埼玉県 熊谷  
8月15日 40.2 ℃ 群馬県 館林
 

明らかに低かったのだ。

つまりジュセリーノの予言は外れたということだし、ジュセリーノが見たといっている予知夢そのものの信憑性について我々はもう一度論議をしなければならないということにもなるだろう。

だが問題はそんなところにあるのではない。

この本は、まるで二酸化炭素(CO2)が増えたので地球は温暖化し、そして日本(東京)の2008年の夏は暑くなるのだという嘘を堂々と書いているオカルト本なのである。

たとえ日本の夏が暑かろうがそうでなかろうが、これと地球温暖化というのは別のはなしである。

地球大気中のCO2の濃度は下がりもしなければ、もちろん増えたということでもない。

日本(特に東京を中心とする関東平野)の夏の気温が年を追うごとに上昇しているの事実だが、それは地球の温暖化とはほとんど(99.5%)関係ないことなのだ。

ニューヨークやパリ、ロンドンといった大都市と同じで、いわゆる「都市熱現象」というやつだ。

さらに東京では、ここ数年の間に湾岸地帯に乱立した高層ビルが、南東の方角から吹き込んでくる海風の流れを悪くして、一種の盆地のような状態にしてしまったことが最大の原因だと言われている。

これはかなり信憑性の高いソースに基づいてだされたデータなのである。

だからこそ、今ごろになって東京駅付近にある高層ビル計画を見直して、東京の中心にある緑地帯(つまり皇居)にまで風が流れ込むようにしようとかいわれたり、あるいは東京中央郵便局の高層ビル計画反対派の旗色を良くする要因にもなっていることなのだ

さて、この本をもう一度読み直してみて、じぶんは一ケ所おかしなところに気づいた。

それは136Pのこの個所である。

立正大学の地球環境科学部の福岡義隆教授は、43~45度という気温は「驚くべきもの」としつつも、ある条件下では、十分にありうると見ている。
「地球温暖化、それに都市の温暖化が重なると、都市によっては部分的に43度、45度ということは起こりうるでしょう。」

つまり、福岡教授の論では「都市以外の場所では43度とか45度にはならない」となるわけだし、こうなると福岡教授が言っていることは「地球の温暖化」とはまったくといって関係がないということにもなるではないか。

実際、このあとで述べている「43度になる条件」というものは「コンクリートやアスファルトの照り返し」、「風通しの悪い状況」「エアコンから排出される熱気」といった、ヒートアイランド現象を生む要因についてなのだ。

おい、地球温暖化の話はどこへ行ったんだよ。地球温暖化の影響で2008年の日本(東京)の夏が43度になるという話じゃないのか、この本のこの章は。

といったように、この第四章の内容はタイトルの「地球温暖化」とはまったく関係のない検証をしてそれでいながら「地球温暖化」について警告を発している気になっているというヘンな本なのだ。

つまりそれを指して自分は「オカルト本」と言っているのであるし、いわゆる「トンデモ本」になるのではということなのである。

(つづく)