だいぶ前に頂いたメールの一部をここで紹介する。転載の許可をいただいた。某SNSに投稿した記事だそうである。面白い内容であるし、そのままメールとして頂いたままだとなんかもったいない気がしたからだ。
「予言というオナラ」
未来ほど不確かなことはありません。
身近な未来と言えば天気予報ですが、
気象学という科学的な学問に裏付けされたものであっても、
その的中率は完璧ではありません。
むしろ外れることの方が多かったりします。
女心と秋の空ではありませんが、
ちょっとした風の向きや気圧の変化で気象というのは変化するものなのです。
そう、天気予報に限らず未来とは、
多くの条件の中から選択した事象の結果に過ぎないのです。
一つでも違った選択をすれば、おのずと違う未来が訪れるのです。
そしてその選択は、私たちが家を出る時、
右足で出るか左足で出るかでも変わってしまうようなものなんです。
そんな不確かで不安定な未来を見通せるという人々がいます。
中でも最近テレビやネットで話題になっている方がこちら。
ジュセリーノ先生
彼はブラジルパラナ州マリンガ生まれ。
現在はアメリカ在住(註1)のフツーの高校教師らしいのですが、
ある日、予知夢の能力に目覚めたそうです。
彼は夢を見るたびに、ノートに詳細を書き留めるようになりました。
そこには驚愕の未来が。。。
2008年 エイズワクチンが誕生。
2008年 アフリカで数千人が水不足で死亡する。
2008年 9月13日 中国(もしくはアジアの都市)で大地震が起こり100万人が死亡する。
2009年1月25日 大阪で震度8クラスの地震が発生。50万人が死亡する。
2010年 アフリカで気温が58度まで達する。水不足がピークに。
2010年6月15日 ニューヨーク株式取引所の崩壊。
2011年2月17日 アフガニスタンで地震。
2011年 鳥インフルエンザが人間へ感染して8千万人が死亡する。
2012年 黒い煙の時代(何のこっちゃ?)同年12月6日から気温や疫病が増大。人類の滅亡が始まる。
2012年 インドネシアでクラカトアー火山が噴火する。
などなど空恐ろしい天変地異の後、
小惑星衝突で人類は2043年に滅亡するそうですとな。
このうち2008年のアジアで大地震の予言については、
確か偶然テレビで見ました。
その時は中国とか具体的に言ってなくって、
アジアのどこか、と言葉を濁していました。
予知夢は予言の日が近づくとより詳しい場所、
時間などが分かるようになるそうで、
最近、中国と分かったのかもしれません
(てっきり私は東京かと思いました)。
あなたはこの予言を信じますか?
20世紀最大の奇跡の人と言われている、
たぶんノストラダムスの次に有名な予言者エドガーケイシーは
(画像の気持ち悪いオッサン参照)、
人類は少なくとも西暦3500年までは存在していると予言しています。
彼はアカシックレコードという超宇宙に存在する、
いわば宇宙のあらゆることが保存されいてる図書館みたいなところに
アクセスして、予言の情報を得ていたそうです。
で、その予言の中に、
「日本は1998年までに沈没する」
という有名な予言があるのですが、
結局、当たりませんでした。
ジュセリーノ先生も同じようなことを予言されていて、
日本を含む南太平洋の島々は、
2030年頃には温暖化による海面上昇で世界地図からなくなっている、と。
で、小惑星が衝突する前、
世界中で天変地異が雨後の竹の子のように起こりまくり、
カナダの一部とブラジル以外に住む人間はほとんど生き残れないとも。
……
なんだかなぁ。
カナダはともかく、なんでブラジルだけが無事なわけ?
あ、そういえばジュセリーノ先生はブラジル出身。
なんか関係あるのかしら。。。。
私は、こういった予言は、屁みたいなものと思っています。
つまり臭くてはた迷惑な行為ってこと。
10年くらい前でしょうか、アメリカで実際にあった事件なのですが、
とあるカルト教団内で、
「明日人類が滅亡する。だからその前に死のう」
頭のイカレタ教祖の言葉を真に受けて、
多くの信者が集団自殺した事件がありました。(註2)
人類が滅亡するという、究極の刹那の果てに命を絶ってしまった人々。。。
でも人類は滅亡などせず、
今もせっせと二酸化炭素を出しまくっています笑
地球汚しまくってます爆
なーんか予言を真に受ける感覚って、
この集団自殺した人々と同じにおいがするんです。
すごく危険なにおい。
予言予言と世間が奉り崇めれば「どーせ人類は滅亡するんだから」と
今ある現実を放棄する者や、
未来に絶望して命を絶ってしまう者が出てくるかもしれません。
おいおい、
それこそ人類滅亡の始まりじゃん!
でも、ちょっと考えてみて下さい。冒頭にも書いたように、
未来とは多くの選択の結果
なのです。
どんな人間も滅亡するために生きているのではありませんもの。
その時、その時で最善の選択をしているはずなのです。
私は、人間の賢い選択の上に訪れる未来を信じます。
だから今を精一杯生きたいと思うし、
それでもやっぱり人類が滅亡する日が来たとしたら――
その時は死ぬのだから、後悔なんて出来っこありませんもの笑
とりあえず、中国と大阪の大地震は本当に起こるかどうか、
静観したいと思います♪
オナラが実現しないことを祈りつつ。。。
(ジュセリーノの紹介部分は、いまとなってみると多少正確さを欠いていたので手直しをさせていただいた部分がある)
註1:ジュセリーノは、何の為かは知らないがアメリカに長期滞在していた時期があった(と言っていた 真偽のほどは不詳)。そのため一時期メディアの紹介文で「現在アメリカ合衆国在住」とされていたものがあった。
註2:ヘブンズ・ゲート事件。1997年3月26日、「ヘールボップ彗星は我々を迎えにきた乗り物である。それに乗るために肉体を脱ぎ捨てなければならない」と唱えた教祖マーシャルアップルホワイトの言葉を受けて39人が集団服毒自殺したアメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴにあった「ヘブンズゲート(天国の門)」という宗教団体の起した事件。後の調査では、団体内ですでに教祖の口にしていた予言がことごとく外れており内部では教祖の失墜とそれに伴う動揺が起きはじめており、脱退していた信者が多数出ていたこと、教祖と一部女性信者との「関係」などが明らかにされている。この事件は「オウム」以降に起きた大きなカルト事件して日本でも大々的に報道された。
2008年のアジアで起きる大地震の予言に関しては、最近またもジュセリーノ自身がそれを否定したり、あるいは内容をころころと変えている(らしい)。そのことを教えてくれた人がいた。だからその点に関しては、もし、たま出版の本の内容と違っていたり、矛盾しててもあまり突っ込みを入れてもしょうがないよ、ということだそうである。だとすれば、どうせなら最初から扱わないこと、という意味でもあるのだがな。
ご本人は気づいているのかどうかは、改めてお聞ききしないとなんともいえないのだが、この文章はジュセリーノの予言の本質というものをついていると思った。ヘブンズ・ゲートと同じで、やはり「ジュセリーノの予言」もまたカルトだということである。ほぼ同時期、そのことをご指摘していただいた某評論家の方からもメールがあったので、自分もジュセリーノの予言=セクト(カルト)という前提でものを書くべきなんだろうなぁ、と一歩踏み切ったわけでもある。
実際ブラジルから来る、「ジュセリーノの予言を信じているよ」という人のメールはそういうものが多い。たとえ信者であることは明言はしていなくとも、ほとんど全てがキリスト教徒的な価値観を下敷きにしてでないと読み解けないようなものになっているような気もするのだ。
と、いうか「信者」でなければジュセリーノの予言なんかを肯定的に語る必要なんかない。日本で(キリスト教徒でもなんでもなく)ただジュセリーノの予言は正しいとか言い切っている人の方がやはり「普通じゃない」んだと思う。
個人的になら「信じる」というのは構わない(という言い方もできる)。しかし、だとしてもそれを人前やこうしてネットの掲示板などで「正しい」、「当る」「当っている、これからも成就する可能性が高い」と「布教」するというのは別のことなのである。
それは絶対的に人に対してはその根拠を示しつづけなければならないことにもなるからだ。まあそういうのを世間では「カルト信者」と呼ぶのですが。
「何故自分はジュセリーノの予言を信じているのか?」ということに対する自己との向き合いを怠ってはいまいか?行き着くのは自分が信者であることを内心どこかで否定していたり、あるいは気がつかないでいるだけではないのだろうか?でなければ商売かだ。