2007年4月4日水曜日

070404 ジュセリーノとノストラダムス1

【ジュセリーノ予言の真実 0404】 ジュセリーノとノストラダムス1

先にノストラダムスの予言詩を載せておく。こういう学術論文モドキの堅苦しい文章が苦手だという人は中身を斜め読みするとかすっ飛ばすとかして、とりあえず最後の部分だけを読んで下さい。



01-001(第一集の第一章)

Estant assis de nuict secret estude
Seul repose^ sus la selle d'aerain
Flambe exigue sortant de solitude,
Fait proferer qui n'est a^ croire vain.


(アクサンを入れられないので「^」を母音の後ろに置いて代用した)

闇夜に密かに書斎におりて
青銅の机にひとり静かに座れば
孤独より立ちのぼる細い明かりは
信じることが無駄ではないことを語る

高田勇・伊藤進訳
『ノストラダムス 予言集/ブランダムール著』日本語版(岩波書店刊)

(預言者が)夜中に書斎で
ひとりで青銅の椅子にじっと座っていると、
孤独から生まれた細い小さな炎が、
信じるに値する事柄を(預言者に)教えてくれる

(福島かつゆき氏による平易訳文1994)


我れひとり闇夜の書斎に座り
青銅机に向かいてこころ静かに
月と星ぼしのかすかな明かりは
信じるべきことを我に与える

(かまたによる意訳)

assis 座っている.基礎の安定した, 確立した.
nuict → 《羅・古仏》nuit 夜 深夜
flambe → flambeau :松明.燭台.《文》 (理性などの)光.
flambeaux de la nuit: 《詩》月と星
exigue → exigu 〈形〉 狭い; 少ない
sortant 当りの 任期の切れた.出て行く者.
de (英 of, from) 〈前〉 1. の.2. から; へ.
solitude孤独 さびしさ, 静けさ
fait 事実, 現象; 出来事. (a) 行為.
prosperer 繁栄する, 盛んになる.(幸運・健康に)恵まれる.
qui n'est ・・・? であろう(同意を求める)
croire 信じる, 信用〔信頼〕する
vain むだな, 効果のない, むなしい

「クラウン仏和辞典(CDROM版)」・「コンサイス仏和辞典」による解説。
※ひょっとして「ラ・ルース仏仏辞書」による解説も混じっているかもしれない。



01-002 第一集の第二章

La verge en main mise au milieu de BRANCHES,
De l'onde il moulle & le limbe & le pied:
Vapeur & voix fremissent par les manches:
Splendeur divine.Le divin pre^s s'assied.


ブランシュの中央にて棒をもちて、
水もて縁と足を濡らしむ。
蒸気と声が袖より震えきたる。
神の輝きなり。神は傍らに座す。

高田勇・伊藤進訳
『ノストラダムス 予言集/ブランダムール著』日本語版(岩波書店刊)


ブランシュの真ん中で、手に小枝を持ち、
予言者は聖水でもって己の衣服の袖と足を濡らす。
袖口から湯気がたち、震える声が立ちのぼる。
神の輝き<が立ち現れる>。神が近づきすぐそばに座る。
(出典不明)

初期の版では、冒頭が「La verge」ではなくて「La vierge(処女=処女宮)」になっているものがある。そのことを踏まえた訳  

処女宮が古き神殿の中央を手にする
波をもって辺土とそのふもとを濡らしめる
恐怖と怒涛の声が海峡より聞こえたる。
神の輝きなり。神は傍らに座す。
(出典不明)

春の頃古い神託殿の天空の真上に処女宮が来たとき
波が押し寄せて、その辺境の地に建つ聖所まで来る
海峡から波と恐怖に震える声が立ちのぼる
これこそ神の業である。神はいつも我々そばにいる
(福島氏による平易訳文)

verge《文》 (叩くための)棒, 笞むち
vierge 処女 手付かずの 未開拓の
La Vierge おとめ座 聖母マリア 
BRANCHE  (木の)枝; 分枝. 枝状のもの.(系図の)枝, (学問などの)部門, 分野, 分科. 《故事》巫女の持つ棒(ディディモイの故事に拠る)《希》(地方などに分祀された)小さな神殿 その一部.

en main 手中に.
mise 動詞 mettre の名詞形 ~の状態にする
au milieu de の真ん中に〔で〕; の最中に.
onde 波
mouille〈形〉湿った, 濡れた.
l'imbe → limbes 《カトリック》 地獄の辺土, 古聖所(キリスト以前の正しい人の霊の住む所), 孩所(洗礼を受けていない幼児の霊の住む所); 冥府 混沌とした状態.
pied  足 脚(a) (柱・建物などの)下部; (山の)ふもと. (b) (木などの)根元. (c) (草の)1株, (木の)1本.
vn → un 
peur 恐怖 不安
voix 声
fremissent  震えている.ざわめく,
manches 袖 袖口 《古》海峡
splendeur 栄光, 繁栄.壮麗さ 光輝.
diuine →(古仏・羅) divinit 神



なぜここでいまさらノストラダムスの予言詩を持ち出すかというと、ノストラダムスの予言の方法というものについて確認したいからである。

第一章は余りにも有名で、ほとんどの(まともな)解説では、ノストラダムスが予言の詩を書くときのスタイルについて自ら描写しているのだと述べられている。

「夜暗くなった頃、ひとりで書斎篭って、青銅の卓(椅子になっているものもある)占台の前でじっとしていると小さな炎(Flambe)が生まれて(インスピレーションのことか)未来を告げるのだ、と言っていると言われている。

自分はこの「Flambe」は「flambeaux de la nuit~夜の灯」つまり月や星々のことでもあると思っている。

というかそう読むとスッキリする詩になりますよ、と言っているのだ。
つまりノストラダムスの予言方法の根幹を成すものが(神からの)インスピレーションであるのと同時に占星術という方法論なのだよという表明と合致するからである。

第二章についても、ノストラダムスの予言=神からの啓示であるということを描写したものだと言われている。そういう解釈をしているものが多い。

ただし、上記のとおり、初期の版によっては「La Vierge」になっているものがかなり残っており、どっちが本当のノストラダムスによる意図が反映されているかについては、実はあまりはっきりとしていない。(こんなことを書くと反論してくる研究者が多いのだが)

結論
で、ここで確認しておきたいこと、それはこのふたつのどちらにも「ノストラダムスが夢の中で予言を得ている」であるとか、「ヴィジョン=映像という形で災害の現場の様子を見た」とかは述べられてはいないということである。
このことは頭に入れておいていただきたい。
(つづく)